国蝶オオムラサキ、花の蜜吸わない!?

オオムラサキは古来から日本に生息する超大型の美しい蝶で、日本の国蝶とされています。
その大きな特徴は、成虫は普通の蝶と違って花の蜜を吸わないことです!代わりに木々の樹液を吸って生きています。
かつては日本各地の雑木林ではどこでも見ることができましたが、最近は特定の地域しかみられず、種の存続も危惧されています。こちらの写真もアジア各国で採取したものを標本にしています。
そんなオオムラサキの特徴、生態などを詳しくお話します。

オオムラサキとは

タテハチョウ科、オオムラサキ属
学名:Sasakia charonda
英名:Greate purple emperor
和名:オオムラサキ、大紫

オオムラサキの成虫の生態

オオムラサキはタテハチョウ科最大の大きく美しい羽根で多くの収集家の憧れの的となっています。
しかし紫色の美しい翅はもっぱらオスの方で、メスはこげ茶色をしています。

成虫は樹木の樹液を吸って生きています。か弱そうな身体でも、大きな翅でカブトムシやスズメバチを追い払って、樹液を独り占めする姿も見られています。
美しい姿からは想像できませんが樹液だけでなく、腐った果実や獣糞なども好み、よく群がっています。

オスは午前中にたっぷりと栄養を貯え、午後にはものすごいスピードで、時には滑降しながら鳥の羽音のような音を立てて自分の縄張りをパトロールします。
それもそのはず、メスはオスの保有している樹液場の広さと質を見定め、強いオスを選ぶのですから。
成虫の寿命はたった1~2ヶ月、その間にできるだけ強いオスを選ばなければならないのです。

オオムラサキの幼虫の生態


夏の間にメスは榎の葉に1つずつ卵を産みます。幼虫は榎の葉しか食べられないからです。
そして幼虫の間中榎を食べ続け、6回脱皮しながら成長します。
そして秋、葉が落ちる頃には身体が葉と同じ茶色の保護色になり、蝶では珍しく幼虫のまま葉に隠れて冬眠します。
春に幼虫から蛹になり、6月~8月の間に脱皮して成虫になります。

オオムラサキの特徴

  • 成虫は花の蜜を吸わないで、木の樹液を吸うこと
  • 幼虫は榎の葉しか食べないこと
  • 幼虫のまま冬眠すること
  • 人里には出没しないこと

オオムラサキは準絶滅危惧種

上記のような特徴から、オオムラサキには豊かな雑木林が必須です。昔は日本中このような環境が整っていましたので、雑木林にはどこでもオオムラサキを見ることができました。
しかし高度経済成長期とバブル期に多くの雑木林が開発の目的で破壊されたり、雑木の代わりに杉を植えられたりして、オオムラサキの生きる環境が少なくなってしまいました。
そのため現在は山岳部周辺の雑木林などに細々と生息しているだけです。

もともとはスズメバチを追い払うだけの強い力を持ち、繁殖力も旺盛なオオムラサキなのに、ここまで追い詰められたのは人間のせいだったのですね。
私達には一日も早く元の環境に戻す必要性に迫られています。

オオムラサキを観察できる場所

日本中どこでも豊かな雑木林と榎があれば、そこにはオオムラサキがいるはずですが、数は少ないので探すのは容易ではありません。
東アジア各国(朝鮮半島、中国、ベトナム、台湾)にも生息していますので、そちらの方が見つけやすいかもしれません。

日本では山梨県が一番見つけやすいでしょう。
山梨県北杜市の「長坂町」は昔から炭焼きが盛んで、その原料となるクヌギや他の雑木を保全しています。また近くの「八ヶ丘高原」は沢や泉などが多く、榎が生育しやすい環境が整っています。
オオムラサキが生息するには絶好の場所ですね。

その上更に50年以上前から、有志によるオオムラサキの保護活動が行われてきましたので、日本ではオオムラサキを観察するにはここが一番良いでしょう。
北杜市には「北杜市オオムラサキセンター」も設立され、オオムラサキをはじめホタルなど数が少なくなっている水中動物の展示もしています。
そして子供たちにもオオムラサキをはじめ自然保護教育が進められています。

この北杜市中心に山梨県には山岳地帯が多く、自然の姿がまだ守られているため、他県よりもオオムラ多く生息していると思われます。

この他にも各地のオオムラサキ生息地でも保護活動は行われています。
せめて今の環境を維持し、できればもっと以前の状態まで取り戻せば、オオムラサキはまた戻ってくるでしょう。


オオムラサキの写真

こちらの写真は展示即売会の時のものです。価格が書いてあるものもありますが、当ブログでは販売していません。購入を希望される場合は”ライン”で友達申請をしていただけば、そちらから製作者の情報をお教えしますので、直接交渉してください。

最後に

残念なことに、人間の開発によってここまで追い詰められたオオムラサキ、一日も早く環境保護が進み、日本中どこでも見られるようになることを願って止みません。
最後までお読みいただきありがとうございました❣

オオムラサキ
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