鈴木選手がMLBで活躍するこれだけの理由

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日本のプロ野球で6年連続打率3割以上、本塁打25本以上などの活躍をしてきた広島カープの鈴木誠也選手。大リーグ挑戦を表明し、メジャーの球団と移籍交渉を2021年に開始したことは、野球ファンの方なら多くの人がご存知のはず。5ツールプレイヤーであることや、高いOPSなど、メジャーに移籍した場合、鈴木選手が活躍するであろう要因を挙げて紹介しています。

2022年メジャー開幕に向けて

アトランタ・ブレーブズがワールドチャンピオンになり、大谷選手がMVPに輝くなど、様々な話題があった2021年のメジャーリーグ。ワールド・シリーズが終わり、早くも多くの球団が選手の補強を始めていますが、この記事では主に2022年度のメジャーリーグの開幕に向けての状況や、大リーグに挑戦しようとしている広島カープの鈴木誠也選手などに関して書いていこうと思います。鈴木選手がどこの球団に移籍するか様々な憶測がされていますが、現時点ではまだどの球団に入団するか決まっていません。2022年のメジャー開幕の時点かスプリング・トレーニング(「各球団がシーズン開幕前に行う練習およびオープン戦」)(ウィキペディア)の時期から、試合や選手に関する記事を書こうと思っていたのですが、今回はその前のストーブリーグの状況と鈴木選手などについて紹介することにしました(ストーブリーグについては後で説明あり)。

ストーブリーグにおける鈴木選手

アメリカでは今、ストーブリーグ(hot stove league:「プロスポーツ選手の契約更改や移籍の動きなどの話題」のこと)(ウィキペディア)の話題で持ちきりらしく、メジャーの情報を扱うスポーツ番組では、今季FA(フリーエージェント)となった選手たちに関する新たな移籍先などの情報が飛び交っているらしいですが、その中でも多くの注目を集めているのが鈴木誠也選手です。

鈴木選手は2021年のシーズンで打率.317、本塁打38本、打点88という好成績を残し、日本のプロ野球史上4人目となる6年連続で打率3割以上、25本塁打以上という記録を残し、侍ジャパンでもオリンピックなどで4番を務めるなど、現在の日本プロ野球界を代表するといってもいいような打者です。

労使協定による影響

これまで8球団以上15球団未満のメジャーの球団からオファーされていて、ポスティングの制度を利用して大リーグに挑戦しようとしている鈴木選手ですが、実際にメジャーでプレーする前に一つの問題が起こりそうだと、いくつかのウェブ上のニュースで報道されています。

メジャーリーグ機構(MLB)と選手会の間の労使協定の話し合いが思うように進まず、球団経営者によるロックアウト(球場閉鎖)になってしまう可能性が生じているためです。ロックアウトになると、選手が球場を使って自主トレができなくなったり、移籍の交渉が中断してしまうなどの弊害が出てくるようです。

5ツールプレイヤーとは

鈴木選手は5ツールプレイヤーであることが評価されていて、5つのツールのうち2つの点をイチロー選手および松井選手と比較した場合、優れた点として、イチロー選手よりも長打力(パワー)があり、松井秀喜選手よりも走力があるという点が挙げられます。鈴木選手は打率.280、30本塁打、80打点をメジャーで打つことも可能なほどのポテンシャルを持つ選手であると私は思っていますし、シーズンによってはそれ以上の成績を残せる可能性のある選手であるとも思っています。また、5ツールプレイヤーという用語は次のように説明されています。 

『5ツールプレイヤー(Five-tool player)は、野球選手を表す言葉の一つ。走攻守の全てに優れたプレイヤーを指し、具体的には「ミート力」「長打力」「走力」「守備力」「送球力」の5つの能力が、一定水準以上高いプレイヤーを指す。』(ウィキペディア)

またイチロー選手も5ツールプレイヤーであり、これまでの日本における5ツールプレイヤーを紹介しているブログ『ショーンの野球ブログ』によれば、5つのツールの一つ一つを評価した場合、ミート:S パワー:B 走力:S 肩力:S 守備力:Aとなっています。鈴木選手に関しては紹介されていなかったので、私が勝手に決めて次のようになりました。ミート:A パワー:S 走力:A 肩力:A 守備力:Aとなりましたが、鈴木選手を良く知る人であれば、多少なりとも似たような評価になるのではないかと思っています。Bを1ポイント、Aを2ポイント、Sを3ポイントとすると、イチロー選手が合計12ポイントで、鈴木選手が11ポイントとなり、この5つの指標の総合点ではほとんど同じになっています。鈴木選手は5つの点で穴(欠点)がなく、非常にバランスの取れた選手であることが分かります。

『THE DIGEST』(2021年11月8日)は、米スポーツサイト『DEADSPIN』の記事を紹介し、その『DEADSPIN』の記事の中で鈴木選手が次のように書かれていることを紹介しています。『「プレートディシプリン」(投手では投球内容、打者は選球眼などについて統計的にまとめられたデータ)が優れて』おり、『過去3年を振り返ってもトータルで三振数よりも四球の数が上回って』いることが高く評価されている理由であることが述べられていて、若くしてメジャーのスター選手となったドミニカ共和国出身のフアン・ソト選手(ナショナルズ)を引き合いに出して、「ソト級のインパクトを与える可能性も秘めている」(『DEADSPIN』)と書かれていたそうです。(『THE DIGEST』)

好打者の一つの条件となるOPS

『広島アスリートマガジン』の記事によると、鈴木選手がメジャーの球団から高く評価されている指標の1つとしてOPSがあるといい、次のように続けています。

『OPSという指標は単に「長打力がある」だけでも「打率、出塁率が高い」だけでも数字が上がらず、「長打力」と「出塁率」を高いレベルで兼ね備えていなければならない。』

また、OPSは次のように説明されています。

『OPS(オプス、オーピーエス)はOn-base plus sluggingの略であり、野球において打者を評価する指標の1つ。出塁率と長打率を足し合わせた値である。打席あたりの総合的な打撃貢献度を表す指標であり、数値が高いほど、打席あたりでチームの得点増に貢献する打撃をしている打者だと評価することができる。出塁率と長打率の和によって簡単に求めることができ、しかも得点との相関関係が非常に高いことからセイバーメトリクスでは重用される指標である。』(ウィキペディア)

『広島アスリートマガジン』の記事によると、鈴木選手の通算OPS(.985)はオリックス時代のイチロー選手のそれ(.943)よりも高く、巨人時代の松井選手のOPS(.996)にかなり近い数字になっており、この点においても良い打者であることが分かります。また、5ツールという点でイチロー選手に近く、OPSの点で松井選手に近いという意味で、鈴木選手がイチロー選手と松井選手の良い面を併せ持つ素晴らしい選手であることも分かります。

ただ、イチロー選手が日本のプロ野球で通算打率.353の数字を残した後にアメリカに渡り、メジャーでの通算打率が.311と、日本時代のそれよりも4分近く下がったり、同じく日本で活躍したあとにアメリカに渡った筒香選手と秋山選手の通算打率がそれぞれ.285から.209へ、.301から.224へ下がっていることからも(『Click プロ野球記録』参照)、鈴木選手のメジャーでの打率が日本時代のそれよりも何分か下がるという懸念がなくはないかも知れません。

野球の素人である私の個人的な見方では、メジャー移籍1年目は打率.260~.270、20~25本塁打、70~80打点が成功の一つの目安になるのではないかと思っています。また、この成績は大谷選手の1年目のそれ(打率.285、22本塁打、61打点)(週刊ベースボールONLINE参照)とほとんど遜色ないですし、打率.270と25本塁打くらいの結果を1年目で残すことができれば、大谷選手と同様に新人王を獲得できる可能性はあるのではないかと思われます。2年目以降、.270~.290くらいの打率であれば、打線の中軸を任せられる可能性がありますし、.280前後の打率と30本近い本塁打を放つことができれば、メジャーでもスター選手として扱われるようになるかもしれないでしょう。

「メジャーの顔」と「日本のベッツ」

メジャーリーグの顔」とも評される、現在の大リーグを代表するバッターとして、マイク・トラウト選手(エンジェルス)が挙げられます。トラウト選手は2014年と2016年と2019年にMVPを受賞したり(ウェブ記事『あいのーと』参照)、毎年のようにMVP候補に名前が上がってくるような選手ですが、鈴木選手を彼になぞらえ、「ミニトラウト」と呼ぶ人もいます。また、トラウト選手と同じくメジャーにおける5ツールプレイヤーの代表格として名前があがる選手としてムーキー・ベッツ選手(ドジャース)がいますが、彼になぞらえて鈴木選手を「日本のベッツ」と呼ぶ向きもあります。いずれにせよ鈴木選手は現在の日本を代表する5ツールプレイヤーであり、「和製トラウト」と言っても過言ではないのではないでしょうか。メジャーで282本の本塁打を放ち、最近2年間オリックスでプレーしたアダム・ジョーンズ選手が言うように、鈴木選手がメジャーで「大活躍できる」日は近いかもしれません。

参照記事・引用記事一覧

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/スプリングトレーニング
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ストーブリーグ
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/5ツールプレイヤー
https://shown3.com/2021/02/27/日本プロ野球歴代の5ツールプレイヤー!走攻守全/
https://thedigestweb.com/baseball/detail/id=48668
https://www.hiroshima-athlete.com/articles/-/2543
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/OPS_(野球)
https://nipponbaseball.web.fc2.com/personal/batter/ichiro.html
https://nipponbaseball.web.fc2.com/personal/batter/akiyama_shogo.html
https://nipponbaseball.web.fc2.com/personal/batter/tsutsugo_yoshitomo.html
https://sp.baseball.findfriends.jp/player/19940012/
https://iknowte.com/mvp-of-mlb-since-1931

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